第9回コラム(自分の生き様を残すための、「三位一体」の考え方)
わたしがサラリーマンを辞め、化粧品業界に飛び込み独立してから30年余が過ぎました。なぜそのような道を選んだのかというと、自分の生きてきた証しを残したかったからです。それは今も変わらず、ずっと大事にしてきた思いでもあります。わたしは事業を興すことで、自分の描いている理想を現実にしたかった。その理想とは、三位一体という言葉で表すことができます。まず一つは、商品です。商品づくりは、作る人たちの存在なしには成し得ません。良いものを作りたいという思いは誰しもが持っているものですが、必ずコストの問題が生じます。いくらでもコストをかければ、それだけ良質な原料を使って良いものが作れますが、コストを下げることに縛られていては、本当に満足のいくものが作れません。わたしは、いかに良いものを作るかということを徹底的に貫きたかった。結果コスト高になっても、誠意のある商品を作りたかったのです。
商品、消費者、販売者。これらが一つになることが夢だった
二つ目は、消費者です。消費者は当然ながら良いものを使いたい。しかしいくら良いものでも、あまりに高価であれば使い続けることができません。。そのためには適性な価格設定が必要です。そして三つ目は、商品に魂を吹き込む販売者であるわたしたちです。魂とはポリシーです。また、商品を作る人たちには技術がありますが、消費者の気持ちや声は、それを伝える人がいないと届かない。昨今は通販が盛んで、モノが溢れている時代です。メーカー直で消費者に商品が届き、販売者不在の関係があたりまえになっています。しかし、商品というのは人と人とのコミュニケーションなしには成り立ちません。毎日の変化をキャッチし、その人のことをわかったうえでアドバイスをしてくれる人がいてはじめてサービスだと言える。商品を作る人たちに消費者のニーズを伝え、使う人の立場で意見を述べる。わたしたちは消費者と商品の間のコミュニケーションという、必要不可欠な役割を果たしています。商品、消費者、販売者が三位一体となること。これがわたしの理想です。
ロイヤリティ原資の導入で、長年の理想の形が実現
良い商品、適性価格、コミュニケーション、それらを提供することができるだけの会社としての利益。そのすべてを可能にしたのがロイヤリティ原資という考え方です。わたしたちは常に最良の原料を選択し、究極ともいえる商品づくりをしています。他の部分ではコストダウンのための努力をしていますが、それでも必要経費から価格設定をしていては、一部の人たちにしか使えない非常に高価なものになってしまいます。そこでアイテムごとに消費者が使い続けられる価格を一般の市場価格から設定し、そこから商品コストを引いた分を販売者で公平に分配するという方法をとり、その内訳の仕組みすべてをオープンに公開しています。アイテムによっては原価と商品価格が見合わないものも多々あります。しかし販売者の利益を追求するのではなく、良い商品と適正価格という譲れない二つの要素を貫くためにこの方法を選択し、結果的に全体で見たときにはバランスが取れたものになったのです。わたしはこの考え方を、すでに独立したころから持っていましたが、社会がなかなかそれにそぐわなかった。ようやくここにきて長年抱き続けた三位一体という夢が形になり、花開こうとしています。商品のラインナップもより充実し、これからの展開にますますご期待ください。