社長コラム

Column From The President

第7回コラム(個と全体が響き合う、「ときめき響奏」という理念)

今回は、わたしたちが大切にしている理念についてお話しさせてください。今から12年前、それまで築き上げてきたビジネスをマニュアル化しようと、コンセプターである木原卓也氏に依頼しました。ところが彼は、マニュアルとは人を機械にするものだ、そんなものを作ってどうするんだとわたしを叱りつけました。そして、わたしの思いを素晴らしい「理念書」にしてまとめ上げてくれたのです。そのときに出来たのが、「ときめき響奏」という言葉です。共に響き、奏であう、「個と全体」を大切にするという理念が生まれたのです。

 

販売する側の信念でやってきた、いままでのこと

当時わたしたちと共に仕事をしていたのは、ほとんどが主婦の方でした。彼女たちが求めていたのは一般的な営業職ではなく、ビジネスを通して生き方を学び、それを家庭や子育てに活かそうということ。社会の一員として働くことで、人間を磨き、夫や子どもと対等に向き合える自立した存在になろうということでした。その上で、企業という「全体」のなかの「個」としての役割を考え、本当の仲間とは何であるかを深く考えて行動指針にしていた。そのことでわたしたちは「ときめき響奏企業」を目指していたのです。そして商品開発においても、これを作るといくら儲かるとかいくら売れるだとか、そういったことではなく、常にユーザーのために必要であろうということを考えてきました。つまりはおせっかいです。たとえば洗顔水の大切さということにおいても、ユーザーにとっては面倒くさいことに違いないけども、トータル的な美しさを手に入れるためには、これは絶対にはずせないことなんだよと商品提供をしてきたわけです。その信念に興味を持たれた方がユーザーになっていく。そういった形で長年やってきました。

 

ときめき響奏企業から、ときめき響奏社会へ

しかしわたしたちはここにきて、「ときめき響奏企業」よりもっと進んだ「ときめき響奏社会」を目指そうと考えています。販売する側の信念の押し付けではなく、生活者の立場に立ち、ユーザーの気持ちと一体となって心や考え方までを巻き込んだ、大きな仲間となろうとしているのです。社会という全体のなかで、個である一人ひとりがそれぞれの立場を尊重し、補いあいながら全体を作り上げていく。例えばオーケストラがそうです。美しい音楽を奏でるには、それぞれが同じことをするのでもなく、かといってバラバラのことをするのでもない。自分の受け持った事を果たしながら、全体のなかで個が活かされているということを知るのが大切です。そのために、わたしたちはユーザーの方と同じ立場、同じ目線で物事を見つめ、考え方を共有し、その上でお互いを尊重して補いあっていかなければいけません。わたしたちは今まで、企業としてどうあるべきかを考えてきました。しかし今、わたしたちが長年大切にしてきた「ときめき響奏・個と全体」という理念を、社会という大きな器を持って活用するときが来たのです。求められることに対して、わたしたちが出来得ることを仲間として果たしていく。そのための改革が、ようやく始まろうとしています。